さてさて、そろそろ何か始めないとな

さいたま市のソフトウェアエンジニアのブログ

転職市場で『システムアーキテクト職ができます!』は、通用しません。

私はプロジェクトマネジメントではなく、システムアーキテクトのプロなんですが・・

プロジェクトマネジメント人材が求められる市場

最近の市場では、プロジェクトマネジメント(PM)、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)という業務を専門で行っている方々が居ます。この業務を専門に提供している会社はいずれも急成長をしている状況です。

転職サイト等を眺めていても、PM、PMOの募集が多いことを感じます。

 

私は、ソフトウェアエンジニアの開発現場で長く業務していましたが、基本的にPM業務も設計業務もやってしまっていたので、PMの方の役割や重要性は正しく理解できていません。

「PMは大事」、「PMが無ければ仕事が効率良く進まない」と言われても、実感が湧きません。PMさんが居なくても特に困る現場ではなかったのです。

 

予算の作成、日程計画立案、チーム編成から、委託先の手配等、基本私の現場ではソフトウェアに関しては全てソフトウェアエンジニアの方々と協力して実行するスタイルをとっていました。

そもそもソフトウェアの開発予算や開発日程が理解できているのは、ソフトウェアエンジニアです。複数のモジュール開発を同時に進めるにあたって、無駄な作業が無いか、課題が無いかを判断できるのもソフトウェアエンジニアの知見があってこそです。

 

私は転職活動のために、職務経歴を作成して、いままでどのような業務を行ってきたのかを一覧にし記載していますが、ソフトウェアエンジニアとして捉えられることは少なく、PM業務ができる人として声がかかることが多いです。

私はソフトウェアエンジニアじゃなかったの?

世間一般から見たときに、実は私はソフトウェアエンジニアじゃなかったのでしょうか?

 

私が働いていたソフトウェア開発の現場では、一年間の間で200名程度のエンジニアが一斉に製品の完成日程に向けて開発を進めなければなりませんでした。

予算は、少なくても 600,000K円以上の規模になります。多いときには1,000,000K円以上の予算を動かします。

ソフトウェア開発を行う国内の外部委託先はもとより、海外の外部委託先とも直接交渉して業務を委託する必要がありました。

新規委託の場合は、作業場所の確認や、作業してくれるメンバーがどれほどの知見をもっているのか等をヒアリングを直接させてもらったりするために、現地出張した経験もあります。作業してもらうためのインプットがどのようになって、アウトプットとしてどのようなものを期待しているのか等の位相合わせも必要です。

ソフトウェアの品質に問題があれば、レビューアーを強化してもらったり、設計レビューさせてもらって、問題点を指摘した上で設計を見直してもらったりということも行う必要があります。

当然ですが、この規模のプロジェクトでは一人ですべてできないことを理解できていますので、私と同じように動けるメンバーを育成する必要がありますし、どのように開発をすすめていくのかを十分に意識合わせできている必要があります。

 

新規プロジェクトで未経験の領域に挑戦しなければいけないケースも多々あります。

そういった場合には、先に教育をうけさせていただいて、学んだ内容を主要メンバーと共有していきました。

 

・・・・。私がやってきたことは、PM業務のように思う方も多いようですが、実は違う認識でいました。

これはシステムアーキテクト領域なのです。

システムアーキテクト業務って、誰も知らない

IPA(情報処理推進機構)が定義する「システムアーキテクト」の定義が以下にあります。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:システムアーキテクト試験

そして、システムアーキテクトの役割が以下のPDFで定義されています。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/syllabus_sa_ver5_1.pdf

このシステムアーキテクトに要求される知識と技能を参考にさせてもらいながら、上流工程から下流行程、運用、保守までを行っていたにすぎないのです。

プロジェクトマネジメント(PM)とは違うのです。レベルが・・。

 

しかし、残念ながら世間一般にはシステムアーキテクトという職種の重要性は全く浸透していないことを実感させられました。

どの企業もシステムアーキテクト人材が不足していることを認識していませんでした。その知識とスキルの重要性を理解してくれる人がいませんでした。

 

実際にIPAの「システムアーキテクト試験」を受験してみても、このシラバスに記載された技能やスキルの評価は一切行われません。午後の試験でも、グダグダな文章で記載された仕様書を読み込んで、正しく解読する技能のみが評価項目となっています。

そもそも要求仕様書が分かりにくい時点で問題なのです。要求仕様書がわかりにくければ、担当毎に解釈が異なってしまう可能性がありますよね。ですから、難解な要求仕様書をわかりやすい要求仕様書にする技能の方が重要だと思うわけです。

それはさておき。

 

システムアーキテクトという知識と技能は、誰にでもできると思われている世間一般の常識を知って、落ち込んでいます。

私は長年のソフトウェア開発経験を通して、システムアーキテクトという業務の重要性を痛感しています。昨今の業界では、それがPM業務と混同されてしまって、何やら誤解されているように感じます。

このシステムアーキテクトというものは、組込みソフトウェアの開発でも、汎用のソフトウェアの開発でも同じく通じるものがあります。これは私が前々職にて、組込みソフトウェア開発でない現場で学んだことが活かされた経験からも、間違いの無い事実です。

しかし、開発経験の無い方々には、理解してもらえないのですよ。

 

転職市場で、「システムアーキテクト職ができます」は、通用しません。

というのを実感する日々です。

いっそ、PMで採用してもらいつつ、システムアーキテクトのスキルを活かしてみようかと考え始める今日このごろです。

さいごに

長年頑張ってきたことの重要性を世間に認知されていないのは、なんだか、くやしい。

こんな状況だから、日本のソフトウェア業界は衰退しているのだと思うのです。

これからの日本、大丈夫か?

エンジニアの皆さん、もっと頑張りましょう。PMさんに偉そうにされている現場じゃだめですよ。品質の改善、日程の短縮、予算の削減。新規の機能アイデア等、正しいアイデアを提案できるのは、現場の皆さんなのですから・・・!!!