先日の記事からの続き
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フリーランスとして働き始めてから、数年が経ちました。 最近、正直に感じていることを一度きちんと整理しておきたいと思い、この文章を書いています。
50歳を過ぎてからのフリーランスは、決して不可能ではありません。 案件もありますし、これまでの経験を評価してもらえる場面も確かにあります。 ただ、実際に続けてみると、「仕事があるかどうか」以上に、「どんな条件で、どこまで主体的に働けるのか」が重要だという現実を強く感じるようになりました。
私はPM(プロジェクトマネジメント)のサポート業務を中心に、現場に入って仕事をしてきました。 自分が前に出て指揮を執るというよりも、現場の社員の皆さんが動きやすくなるよう、情報を整理し、課題を可視化し、先回りして支える役割です。 この仕事には強いやりがいがあり、実際に現場の役に立てていると実感できる場面も多くありました。
長年の経験から、どこで無理が出やすいのか、どの工程で問題が起こりやすいのか、ある程度は予測できます。 そのため、現場の負担を減らすための提案や、先を見据えた調整を行うことで、改善が見えるケースもありました。 フリーランスになったからこそ、こうした俯瞰的な視点を持てたのは、間違いなく大きな収穫です。
一方で、50代フリーランスとして働く中で、構造的な難しさもはっきりと見えてきました。 特に、大手企業の現場では、個人のフリーランスと直接契約できないという現実があります。
私がこれまで関わってきた複数の大規模な開発現場においても、個人との直接契約は認められていませんでした。 どうしても、大手のフリーランス仲介業者を経由する必要があります。 企業によっては、その仲介すら難しくなっているケースもあります。
その結果、フリーランスとして働き続ける限り、仲介業者へのマージンを支払い続ける構造から逃れられません。 以前の案件では、仲介業者が最初の紹介以外ほとんど関与していないにも関わらず、委託元が支払っている金額から、かなり高い割合のマージンが差し引かれていました。 契約が長期になればなるほど、この点に対する違和感や不満は、正直なところ大きくなっていきました。
仲介業者を経由せずに案件を確保することも考えました。 しかし、前述の通り、大手企業では個人との直接契約ができないため、現実的には非常に難しいのが実情です。 こうした構造的な制約もあり、「フリーランスとして長く続けること」そのものに、疑問を持つようになりました。
また、フリーランスという立場では、どうしても越えられない線引きがあります。 現場の課題や無駄が見えても、組織全体のルールや人事、評価制度といった部分には踏み込めません。 「ここまでできれば、もっと良くなるのに」と感じながらも、それ以上は社員の方々に委ねるしかない。 この距離感は、フリーランスである以上、避けられないものだと感じています。
それでも、フリーランスという働き方を後悔しているわけではありません。 組織の内と外、両方の立場を経験できたことは、自分にとって大きな財産です。 現場を俯瞰して見る力や、「どうすれば現場が楽になるのか」を考え続ける姿勢は、以前よりも明確になりました。
最近は、再び就職という選択肢についても、現実的に考えています。 それはフリーランスに失敗したからでも、逃げたいからでもありません。 フリーランスとして外から関わるだけではできないことが、組織の中には確かに存在するからです。 長期的な視点でプロセスを改善し、人を育て、文化を変えていく。 そうした取り組みは、腰を据えて関われる立場だからこそ可能になるのだと思います。
一方で、経験を生かして起業したいという気持ちもあります。 ただ、収入の目途が立たない状態での起業は、不安が大きいのも事実です。 年齢を重ねた今、リスクを取ること自体が悪いわけではありませんが、現実的な不安を無視することもできません。
そもそも、なぜ就職ではなく、フリーランスを選んだのか。 それは、就職してしまった場合、定年まで与えられた仕事をやり続ける未来を、どこかで避けたいと思ったからです。 フリーランスであれば、幅広い現場を経験し、多くの知見を得ることで、より多くの開発現場の役に立てる存在になれるのではないか。 そんな思いと、少しの夢を抱いて、この道を選びました。
その考え自体は、今も間違っていなかったと思っています。 ただ、理想と現実の両方を見た上で、次の一歩をどう踏み出すかを、改めて考える時期に来ているのだと感じています。
まだ明確な答えは出ていません。 フリーランスとして続ける可能性も、再び組織に属する可能性も、起業という選択肢も含めて、現実的に考えています。 いまは、自分が最も価値を発揮できる場所を探しながら、次の一歩を慎重に選ぼうとしているところです。