文部科学省が考えるプログラミング教育
小学校の学習指導要綱に「プログラミング教育」なるものが追加されています。
文部科学省に掲載されている内容を見ると、非常に面白いです。
コンピュータをより適切、効果的に活用していくためには、その仕組みを知ることが重要です。コンピュータは人が命令を与えることによって動作します。端的に言えば、この命令が「プログラム」であり、命令を与えることが「プログラミング」です。プログラミングによって、コンピュータに自分が求める動作をさせることができるとともに、コンピュータの仕組みの一端をうかがい知ることができるので、コンピュータが「魔法の箱」ではなくなり、より主体的に活用することにつながります。
引用「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」
という目的から説明されていますが 、本当にこれを教える気があるのか疑問です。
プログラムを活用するために必要な「プログラミング的思考」
以下は、「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」にあった例です。
こういうプログラムを作成することで、正三角形を書きましょうと教える訳です。
「ブロックをくみ上げるだけで、今の世の中のコンピューターやデバイスを制御できると思うなよ」と私などは思ってしまいます。
これがわかったところで、コンピューターを使いこなすことができる子どもになるのでしょうか?
コンピューターを理解するというのは、このようにブロックを並べることで、何故コンピューターが動くのかを理解するべきだと思います。
文部科学省が説明している「プログラミング的思考」は、まったくコンピューターは関係が無い教育な気がしてなりません。
例えば、自宅から学校までの道のりを考えましょう。
- 玄関出る。
- 道に出る。
- 右に曲がる。
- 交差点まで進む。
- :信号待ち
- if(交差点が青)すすむ。
- else { 止まる、goto 信号待ち}
- すすむ。
これって、コンピューター関係あります?こんなことが記述できたところで、コンピューターは使いこなせません。決して無関係ではありませんが、プログラムなの?
こういう論理を考えるのに、高級な教材が必要とも思えません。
ピタゴラスイッチの方がよっぽど複雑。
文部科学省の偉い方達は、こういう教育をすることで、プログラムを理解し、コンピューター社会に適応できることができると思っているようです。
コンピューターになじむ社会を目指すために、教えるべきもの
こういう無駄な教育をするよりも、コンピューターが何故動いているのか、スマートフォンがどうやってできていて、どのように動いているのかを教えてあげた方が良いと思います。
- CPUって何?
- メモリーって何?
- キーボード、マウスって何?
- どうして絵が表示されるの?
- どうやったら、自分の好きな絵が描けるの?
- どうやったら、音が出せるの?
- OSって何?
- アプリケーションって何?どんなものがあるの?
- アプリケーションって、どうやって作るの?
こういったことを教えてから、「じゃぁ、実際にやってみよう」となるのでは?
そして、ソフトウェア業界を目指して活躍できる子供を育てるなら、コンピューターにもっと触らせてあげましょう。自由に使わせてあげましょう。コンピューターでいろんなことができて、これから先にどんなことができるようになるのかを想像させてあげましょう。
もっと自由に考えて発想して良いのだということを先に教えるべきです。
本当に、学校の先生も大変ですね。
生徒に教える前に、先生が理解しないといけませんから。
第三版に追加された企業との連携の推奨
「プログラミングが社会でどう活用されているか」に焦点を当て、企業と連携しなが
ら行う指導というものが追加されています。
- 自動車メーカー
- 住宅メーカー
- インターネット関連企業
「プログラミング的思考」を教えるために企業を巻き込もうという考えです。
あくまでも企業の方から「プログラミング的思考」を学ぼうというスタンスのようです。
難しいことには触れてはいけません。
「プログラミング的思考」の例を聞きにくるだけのようです。
必要ですかね?
わざわざ企業に行かなくても、身の回りに沢山のソフトウェア制御された電化製品などがあふれています。そういうことを、ちゃんと教えてあげるべきなのではないでしょうか?
はたして、成果はでるのでしょうか?
学習用機材として、過去に紹介した「micro:bit」を使ってチャレンジしている立派な先生方もいらっしゃいます。
実際、こういう機材を使った授業があれば、私は面白いと私は思います。
しかし、興味をもつ子供は、興味をもつだろうし、もたない子も多数いることでしょう。
おそらく、それは授業でやらなくても、そういう興味を持つ子は一定数居るでしょうから、今のソフトウェア社会に進んでいった大人たちが居るのだと思います。
その割合というのは、結局、あまり変わらないのでは無いでしょうか?
スポーツ選手を目指す子、建築に興味を持つ子、化学に興味を持つ子、それぞれ居て良いと思います。
もしも、本気でソフトウェア業界に興味を持つ子供を育成して、日本国内のソフトウェア業界の活性化につなげたいのであれば、もっとしっかりとした教育をしなければならないと思います。
今の社会でソフトウェアエンジニアを目指すべきなのか?
「プログラミング教育」を義務化したところで、ソフトウェア業界が活性化しないと思います。
ソフトウェアエンジニア目指すよりも、Youtuber目指した方がお金稼げます。スポーツ選手や歌手、芸能人、医者を目指した方が儲かります。
今の社会のソフトウェアエンジニアなんて、安い給料で長時間働いて体壊して、働いてという人たちが沢山居るところです。
子供たちにプログラミング教育をする前に、我々ソフトウェアエンジニアの給料をあげてください。
もしかしたら、もしかしたら、今の子供たちが大きくなることには、プログラムができるだけで、「キャーキャー」と黄色い声援を受けられるような社会になるのかもしれませんね。
プログラムできるだけで、お金儲けができて、モテモテな社会ですか?良いですね。
「無い、無い。」